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災難を呼ぶ人


 迷信深い人々が黒猫を嫌うのは、猫に罪があるわけではなく、「黒猫が災難の予兆」と信じられているからだ。
 果たして、黒猫は災難を運ぶか否か……それを科学的に証明することは難しいが、人が災難を嫌うことは科学を持ち出すまでもない。また、「災難の予兆」すら嫌われることを考えると、みだりに「災難の訪れ」を口にする人も嫌われることは容易に想像が付く。

 ……だから、まともな人は、証拠もなしに災難を予告しない。
 ……当然、まともな霊媒も、みだりに災難を予告しない。

 みだりに災難を予告すれば気味悪がられ、予告が外れたら不快な気分を振りまく奴として憎まれるからだ。

 黒猫が災難を口にするわけではない。迷信深い人々が勝手にそう決めつけただけだ。黒猫であるか否かは、努力で選べることではないのだから、猫にとってはなんとも災難なことである。……ところで、災難を口にするのは人間の勝手、つまりは努力で防げることだ。と。すると、災厄を触れ回る人が嫌われることは……黒猫が被る災難よりも愚かしそうな気がする。

 黒い猫を好む人もいる。まあ、その大部分は猫なら何でも可愛くてたまらぬのだろうけれど、柄のある猫よりも無地の猫の方が、顔立ちで勝負しやすい物だ。が……黒猫を可愛いと思う人も、災難の予兆な人を可愛いとは思うまい。

 ああ、猫の子なら可愛いのにね。まあ、狐の子ほど可愛くはないが。


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