| 焦りの意味 |
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| 作者 老神いさお | |
| 2008/10/05 Sunday 00:02:12 JST | |
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『人は多分に焦りに苦しんでいる。――「なぜ、焦るのか?」――その理由を考えようともせず。 『焦りから逃れるために、努力し、工夫し、疲れ果てて……癒しを求め、癒しを得るために努力し、工夫する。 『なんという悪循環。動物は本来、疲労すればひたすら静養に勉めるというのに、疲れればなお、努力せざるを得ないのは、いかなることか? ネズミどもの本能の如く。 『非合理的な行動に支配され、苦しみを増す人々がいる。……何に飢えているのかに気が付かぬまま、ただ、心に餓えだけを感じ、ただ餓えだけを満たそうとする。……がむしゃらに。 「幸せになるにはもっと良い方法がある……」とは言わぬ。いや、言えぬ。 『焦っていては、決して手が届かぬ方法であるから。……待てぬから人は、非合理な手段に走るのである。 『これは人(間)に関する真理に属する。つまり、多分に応用の効く叡智である。 『不幸になるべき人はいない。ただ、幸せになる努力を続けられずに、不幸な道を選ぶ者があまりに多いのである。 『堕落、だらく、堕落。――人が堕落するのに誘惑があると思うのは大いなる間違いである。誘惑によって堕落が生じると信じる人が、その誘惑の源としての悪魔を想像するのである。 『正しい道を歩むことに疲れた人々が、心の中に作り出すいいわけが、すなわち悪心であり、誘惑なのである。 『気をつけなければいけない。……他者のいう嘘は見抜けるかも知れない。だが、心中に生まれる言訳は、あなた自身が、あなたを騙すために生み出すのである。あなた自身がそれを見抜くことは、あなたが自分の心の悪を自覚するということである。……これはなかなかに困難だ。 『……多くの人にとっては不可能とも言える。己の悪を認めるより、他人を悪者に仕立てようとするだろう。まして、心中に悪を抱いているなら、どうして真の神と向き合えようか? 『外に悪魔を探すより、己の中の過ちを見いだせ、神の助けを求める前に、自身の悪と決別せよ。……そして、努力と工夫の方向を誤るな。 『己に足りぬものを知らずに、どうして、己が満ちるというのか。』 |
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