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間が悪い

2005/08/31

2005年 08月 31日


「思うように生きられぬ。この運の悪さは持って生まれた業《カルマ》であろうか?」――こういう問いを受けた。

 人によっては、好き嫌いを絶対視して、好きなものを好き、嫌なものは嫌、と区別することが自分らしい生き方と信じている向きがある。しかしそれはいささか乱雑な価値観であることは容易に考察できる。

 もしもあなたが、嫌いな相手から嫌われたとしたらどう思うだろう? おそらく「これ幸い!」と思うだろうが、反対に、好きな相手、または必要な相手から嫌われたらどう感じるだろう?……とても苦しみ、葛藤するに違いない。

 嫌いな相手に弱みを握られるのも辛いが、好きな相手に嫌われるのも辛い。

 してみると、「人を嫌う」、または、「人を好む」という情は、本当に人生の主導権を握る価値があるのだろうか?

 そもそも、関わる必要のない相手であれば、どんなに嫌な相手であろうとも嫌う必要もない。ただ関わらなければ良いだけである。また、どんなに好ましい性格の持ち主であろうが、出会うことがなければそこに好感も生まれようはずが無い。……つまり、好き嫌いは、「縁」の二次的産物なのである。縁がなければ好意も嫌悪も生まれることがない。

 故に……人を嫌い、または、憎む人を見て私は思う。

 自分を苦しめてどうなるのだろうか? 嫌うのであればまず縁を切るべきだ。縁を切らぬうちに相手を嫌えば、嫌うことで自分が苦しむ。

 たとえば会社の同僚、学校の同窓、家族や隣人等……距離が近ければ否応もなく利害がぶつかり、従って憎まざるを得なくなることも多々ある。だが、縁を切らずに相手を憎めば自分が苦しむのである。

 心霊思想は善悪を重視しないが、自分が苦しむような心の持ち方はナンセンスだ。

 間の悪い友人がいる。一生懸命なのだが、どうもそれが誤解される。これもまた、縁のもたらす二次的産物である。

 友人と車で移動中にこの話をした。

 狭い路地に対向車がある。むろん、強引に自分だけ進もうとすれば、互いの車が邪魔で前には進めなくなるだろう。この場は、譲り合うことこそが自分にとって好都合といえる。

 さて、うまい具合に空き地を利用して車がすれ違えば、相手のドライバーに好感を感じるが、お互い譲り合って、譲り合いすぎてすれ違いがうまく行かなければ……『なんだ、あいつは鈍くさい。免許を持っているのか!』などと心の中で毒づいてしまう。つまり、道を譲り合っているのにも関わらず、相手を嫌ってしまうのである。

 一本の道という縁を通じて、うまくすれ違えば相手に好意を、うまくすれ違えなければ相手に嫌悪を抱く。この好悪の差を支配しているのは、「間」である。そして、互いに違う道を走れば、好意も嫌悪も生じることはない。

 男女の恋愛も間が重要な要因である。出会いのタイミングが合わなければどうなっていただろう? または、出会う前にすでに結婚でもしていたら? その出会いが果たして幸せといえるだろうか?

 縁は、前世で決まっているかも知れない。少なくとも生来の性質に大きく左右されることではある。だが、間の悪さは練習・学習によって向上する類の問題で、後天的な問題と見なすべきだろう。つまりここに前世の因縁などを持ち込むべきではない。

 縁がなければ嫌う必要もない……互いに結びつきがあるからこそ、そこに嫌い、憎む必然性が生じる。

 前世を論じるとき、前世で親子・夫婦であったものが今生で憎み合ったり、前世で憎み合った者同士が、親子・夫婦であるというのは、つまり縁が深いからに他ならない。すると、縁を切らずに憎むということの危険性が見えてくるだろう。何度も生まれ変わって互いに苦しめ合わなければならなくなるのである。


 念のため……縁の生む絆は必ずしも双方向には働かない。

 自分がどれほど相手を必要としても、相手はさして必要としない場合もある。

 自分にとって唯一無二の存在だとしても、相手から見たら多数の中の一つの場合もある。

 強がることで、相手を利して、自分に損をさせる事例は数限りなく存在する。……何よりもその失敗は、自分をつまらぬ存在として思い知らされることである。


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