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老妖精と語る

2004/07/30

 客の少ない湯船、目の前には風にそよぐ大木。すっかりくつろぎ、しかし、ちょっと退屈気味の私が、ふっと気がつくと眼前に、拳大の背丈の老翁が浮いている。

老翁 『ごくろうさまです』

 あらまあ。

  『ありがとうございます』

老翁 『私どもに、ご関心をお持ちのようで?』

  『ええ、いくつか質問をお許し願いたい』

 老翁は頷く。

  『西洋では、妖精というと虫の羽をはやした小人として描かれます。また、昭和初期の霊界通信(小桜姫物語)で、日本の妖精もやはり虫の羽を持っていると描かれていますが、私の見る限り、妖精というか、草木の霊には虫の羽のついていない方が多いと感じるのです。』

 すると、その瞬間に老翁の姿がよりくっきりと鮮やかに見え、その背中には虫の羽が生えています。

老翁 『今お見せしたとおり、私たちの姿は自由自在、むしろ姿などは人を化かすようなものにすぎません。私はなるほどあなたよりも肉体年齢は相当に大きな訳ですし、また、ゆったりとした時の中に生きておりますから、老人の姿で立つ事を好みます。欧米の妖精達が虫の羽をはやしているというのも、いわば、悪魔の手先や妖魅と見誤られるのを嫌って、自分を区別したかっただけでしょう。』

  『ええ、でもなぜ、草木が妖精の形態を取って人前に現れようとするのでしょうか? わざわざ形態を取るなどと言うのは低級霊的にも思えますが』

老翁 『あなたならば、相手が草木や鳥獣といえども無体は致しますまい。しかし、人々の中には草木とバカにしてゆえなく枝を折り、木を切る輩もおります。その輩の心に、私どもが何かを伝える事は難しいものですが、それでもチャンスがあれば、試みぬ訳には参りません。「私どもも生きている。私どもも死ぬのは嫌だ」、そう主張するのに何より簡潔なのは、私どもが人の姿に似せて相手の心に映る事なのです』

……なんだか、とても報われがたい仕事に思える。

  『たしかに。妖精を感じると本当に雑草と呼ばれる草木一本抜くのがはばかれますし、植え替えや水やりだを忘れると罪悪感にも襲われます』

老翁 『私どもの意識は決して、地上の樹木の影響を受けてはおりません。人がその精神活動を脳の働きに大部分を依存しているのと違い、私たちの意識はあくまでも霊的な部分にあるのです。ですから、自分の木を切られても痛むのは心だけ、私たちにとって切られる事は、死や断絶を意味するのではなく、神様から与えられた仕事、すなわち、自分の身体とも信じられる、この木を大きく立派に育てる事なのです。人もまた神様のお役に立つための道具、私たち樹木もまた神様のお役に立つための道具。ただ寂しいのは、人は神様のお役に立つ事を忘れて、私たちを欲望の道具にしか見ぬ事です。それは枯れる事よりも辛く、情けないかもしれません。』

 そっと、涙をぬぐう老翁。

老翁 『しかし、いずれは人も神様のお役に立つ時が来るでしょう。私どもはそれまで、懸命に神様のために働きましょう。』

  『あ、では、あなた方が人に親切なのは……』

老翁 『調和こそがすべてを幸せにする鍵なのです。正義で裁き、敵を作る事は神様の望まれる事ではありませんよ』

……与える事に幸せに感じる人は少ないが妖精達はそれを当たり前に思っているのだろうか? でも、妖精の持ち物をすべて人が奪ったら、人はどこに資源を求めるのだろう。

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