心霊家の葛藤’
霊能者と霊能力の問題は、オカルトマニアを含む心霊研究家の葛藤の的でもあります。心霊家たちの間で、霊能力が誰にでもある力であることは、常識となっていますが、霊能力を自己開発した人の話(滅多に)は聞きません。
多くの心霊研究家たちは、霊能者の話では、埒があかないからと、自分で見たり、感じたりする事を渇望していますが、その願いはかないません。中には、霊能者であると同時に工学博士号を持つ方もいますし、大学の教授を勤められた方もいらっしゃいますが、その研究成果はあまりぱっとしないものです。
愚考するに、多くの心霊研究家たちは、自分たちが信じる結論を証明する事に焦って、基礎研究をおろそかにしすぎているのを感じます。私は霊界を四次元や五次元の世界(#1)と喩えるのは生理的に好みませんが、世にある心霊現象とは、障子に移った影絵のような物です。それは霊界の大きな働きの一部が顕現しただけの物であり、影絵をいくら研究しても、それが型紙の投影なのか、はたまた、立体物の一面なのかは判然としなくて当然なのです。
いずれにせよ、現段階において、霊能者は唯一の霊界探索手段なのです。多くの研究家は、霊能者に対する不平を口にしますが、霊能者の立場からすれば、研究家のために働いたところで、問題が起これば、霊能者に騙された、または能力が低いからといい逃れられるような相手のために懸命に働く必然性もないわけです。
本当に霊界の実在を世に知らしめたいのなら、自尊心のために働く心霊研究家に見せるより、心霊否定論者の学者に見せるほうがより効果的なのです。結局のところ、心霊研究には、人材が不足しているというのが現実なのですね。
何より、霊能者は霊界の門であり代理人なのです。そして霊能者は抽象的な世界の様相を、具象的に懸命に説明しているのです。もとより姿のないもの、この世には存在しない物を説明しているのだから、そこには矛盾や不適切な説明も生じる事もあるでしょう。しかし、それをもって、霊能者がいいかげんという評価は不適切です。……この世に存在しない物の説明を聞いて、それが地上の常識で何の矛盾もなく、あたりまえに存在するかのように感じられたら、その方がおかしいではありませんか。
この事は、多くの心霊家たちが抱えている呪縛なのです。結局、影絵の影を追う事しか出来ない証なのですね。
#1:比喩の在り方
五次元がどういう世界だか、想像つく人がいるでしょうか?
本来比喩とは、理解の困難なものを、身近な例で説明する物であり、より理解が困難な物で喩えるのは問題をすり違える恐れがあります。
2006-04-14