業で身がすくむ

2007年04月01日


原子力発電に関する番組(ガリレオチャンネル)を見た。―― 番組・コメンテーターのいうほど、原子力にメリットがあるのか、デメリットは少ないのか、という疑問はさておき、原子力エネルギーの利用を難しくしているのは、一般大衆を覆う生理的恐怖感であると思う。……恐怖が議論を歪めている。

確かに必要性はあるのだろう。そして、知られている以上に危険性もあるのではないか。だが、これは心霊研究に関心のある者ならば、よくわかることと思う。……関心があり、恐怖感があれば、怪談が生じる。そして迷信も。

恐怖感を煽らぬようにするため、情報を隠す。隠すから安全が疎かになる。……原子力発電所の記録偽造問題はかくも問題視されるが、私は、水力や火力発電所の記録偽造問題がニュースとなったことを目にしたことがない。

これは恐るべき問題だと思う。記録偽造がではない。かくも重大な問題が、きちんとした議論が出来なくなっていることがだ。……反対するのも国民の義務ではある。だが、原子力の危険性を研究しているのは誰であるのか。当然、原子力の研究家であり、その二次情報を基本にしていることだろう。だが公式情報の分析だけで本当に危険性が理解できるのか。そして原子力は設置反対を理由に、設備や資金面で充分な研究ができるのか? 賛成論者から情報を依存しているのに、情報操作の心配性がないといういのだろうか?

知らずに怖がる……恐怖も又、人類を存続させてきた要素の一つだろう。だが、知らなければ逃げることしか出来ず、逃げても逃げ切れるとは限らない。

そもそも、原子力の必然はどこから生じたのか? ……二酸化炭素の増加と化石エネルギーの枯渇という障害と、さらに多くのエネルギーの必要性である。 端的にいえば、豊かさの代償、豊かさを捨てる覚悟なくして原子力から逃げることが出来るのか?

さらにいえば、我が国だけが原子力を全廃しても、隣国が原子力発電を推進すれば、危険性は無くならない。つまりグローバルな視点で原子力を論じなければならないわけだが、他者に「豊かさを追い掛けるな」と価値観を押しつけることが道義的に出来るのだろうか? ……太平洋戦争での侵略者である我が国が?

恐怖心は、決して無駄ではないと思う。だが、理性を捨てるほど恐怖心が大切とも思えない。いや、獣や盗賊、災害などの眼前の障害から逃げれば良かった時代ならば、恐怖心が人を救ったかも知れない。だが、事情があまりに複雑になった現代において、恐怖心はむしろ、危険性の巣となってはいないか?

拡げて考えるなら、平和運動・戦争の反対も、むろん正しいと思う。だが、戦争が恐いから、飢餓が嫌だから、という理由で反対するのはやはり議論を成り立たせないのではないか。恐怖に支配された戦争反対論では、国外の戦争を放置し、飢餓を放置することにならないか。資源の輸入が発展途上国の利権争い、ひいては内乱を助長しているかも知れないのに。……もしも資源国が平和で安定し、結束して値段をつり上げたとしたら、日本はかくも豊かでいられたのだろうか?

恐怖心が危険を疎かにし、豊かさの追求が苦悩を有む。そして一番素直な解決策は豊かさの放棄である。……現代社会において、様々な技術の産物を、恐怖を理由に放棄せよというのであれば、そもそもなぜ豊かさを追求したりしたのだろう? それこそが全ての苦しみの源だろうに。

今さら後戻りできないのに、前に進むことに躊躇する。どちらにもリスクはあるのに。……それが人間であるとすれば、心霊思想が輝かしい未来を提示しつつ、人々の妬みや怠惰な心さえも克服できないのも、実に同様の理由であろう。


コメントをどうぞ

コメントを投稿するにはログインしてください。

お知らせBy老神いさお。

・スマートホン
iPhone/Androidで閲覧時に、最適化したページが表示出来るようになりました。よろしければ、ご感想をお寄せ下さい。

・サイト再構築中
移行途中のデータが時折、トップページに掲載されますが、編集作業の都合ですので、今しばらくご容赦ください。旧作については、本文右上に日付が記載されます。

・ページ更新
 現在:1056㌻
 復旧予定: 残り480㌻位・・・

老研カレンダー
6月 2019
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
7月 2019
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031EC
老研イベントリスト
  • No events.
みにみにぶろぐ
  • ・原発全廃
  • ・その後悔の帳尻が合う生き方をしているか?
  • ・我が国だけが原子力を全廃しても、隣国が原子力発電を推進すれば、危険性は無くならない。
  • ・生きるとは生むことである。
  • ・いろいろなる不平不満はあるだろう。だが人は歩んでいる。
  • ・与えられる事を当たり前に思っている者が飢える。
  • ・なぜ、争うのだろう? 事態はただ現実への妥協を求めているだけなのに。
  • ・ 見せられると信じたくなる
  • ・豊かな者は足りぬものに気が付かず、知りたる者は、知らざることに気が付かぬ。……
  • ・ 心に不満が生じるのは、あなたが焦っている証。もう少しゆっくりと生きなさい。

More »

サイト内検索
アーカイブ
サブ・サイト