隠して終わる

2006年11月21日


紙と鉛筆と計算尺とで積算を行うのはもうすでに過去の話……といっても、私は計算尺での積算を学びはしたが実際に仕事で使ったことはない。ただ、先人の智慧に大いに感服しただけだ。図面でも積算でも、紙と鉛筆の方が案外に早く出来上がる。ただ、修正が困難なのだ。まあ利点があってもITシステムを使いたいが……

ところで日進月歩のIT技術。革新は進み、システムの利用期間もどんどん短くなっていく。ましてや技術革新は単なる便利さだけを提供するのではなく、より野心的な使い方も提示する。つまり、複雑なシステムが簡便な操作を提供する一方で、より高度な目的から、大量のデータ入力を必要とすることもある。

まあ、端的にいえば、業務システムの更新を負担に感じているのである。私は職場の中ではかなりITに詳しいのだが、それでも今回の更新にはいろいろとウンザリしている。

業務システムというのは一部のITに詳しい人にだけ委ねて済むものではないから、必然的に職場単位や部門間で何度もミーティングが持たれる。……が、話はなかなか進まない。業務に詳しいがITには弱い人、ITには強いが業務には疎い人、間に入って、歴々に向かって、ついつい私が口を挟む場面もある。

すると……同僚の諸先輩も一斉に発言を始めるのだ。いわゆる昔話を。

『昔は大変だった、あの仕事は大変だった、今は便利になったが、でもよく分らない……』

……で、話がちっとも進まない。「場をわきまえろ」と言いたくなる。それは何も時間の無駄を問題にしているのではない。難しい話題を論じているのに間が明けば理解や印象が薄れていく。

皆、職場の改革に焦りを感じているのだ。焦りを隠すために過去の業績を口に出す。……むしろそれが痛々しいのだが。

こういう無意識言動を繰り返す、諸先輩を侮蔑する意図はない。……私だって自分が不得手の場面では無意識に、無関係な自慢話、または脱線話をしているかも知れないのだから。

当たり前に流されていては、善く生きることが出来ない。……でも、善く生きようとしている人はなかなかいない。罪を犯して罰を受けることを恐れる者は多くても。


なぜ、罪を受けた者を嘲笑うのだろう? 罪を犯さずに済む、自らの境遇に感謝することもなく?

裁きを恐れる者は多い……善良を演じる者は多いが、善良な者は少ない。


劣等感を隠すことを非難するのではない。隠すだけで終わることを残念に思うのだ。


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