当たり前のこと

2004年 06月 29日


 先週、足の悪い母を連れて、とある気功師を何度か訪ねた。私にも整体の知識はあるし、それなりに実績も持っているけれど、母の足に関しては、「(主に再婚先の)祖先の因縁」と出ていて、簡単には治らないことを確認している。反対に、背後が「やれ!」という時の効果のすごさも知っているが……ここで言っても強がりにしかならない。私は母の足を治していないのだから。

 幸い、母はとても困ったことに(?)偽薬効果の出やすい人で、新しい所に連れて行くと慣れるまでの二、三回は非常に喜ぶ。まあ、話題はそこにはない。

 昨今、癒しを求めている人が多い。母を連れて行った先でも頭を抱えるほど、嫌みったらしい「癒し」を感じた。癒し効果のある水、そして石、土地、訳の分からぬ機械に、偉大なる先生様。確かにそれは素晴らしいものだ。だが、その水、その石は、いかなる命を生み出すのだろうか? それに比して……往々、ぼろくそに悪口の対象にもしているが……我が母・父は私を生み出したのである。

 赤の他人に親身になってくれる、この気功師もありがたいが、なにやら大事にすべき者を、一つ二つ見落としているかのような気がするのは、私の気のせいか?

・・・・・・・

 足の悪い母を送って、私は車を玄関前に横付けし、母を降ろして、ちょっと離れた駐車場へ車を持っていく。それを見た気功師が、「あなたの息子さんは親孝行だねぇ」といったとかで、母が喜んでいた。単純な話である。

 私は別段、いや、特別に親孝行を心がけているわけではない。ただ、駐車場から歩かせると日が暮れて、朝日を迎えてしまいそうだから、玄関前に落とすだけだ。要するに合理的なのである。母もその辺は心得ているが……どうやら内心では気がついているようだ。私のいう合理的とは、本来当たり前のことであり、当たり前なことが出来ないのが周囲の人々であることを。要するに、老いた親を「役立たず扱い」する事でストレス発散している人々が多いということを。

 先日、叔母が私を気の毒がった。「あなたもお母さんの世話ばかりしてないで……」でも、昨年末の渡米とその前後の準備・整理期間、合わせて一ヶ月強の間、母に顔を見せなかったら、久しぶりにあった母の顔が歪み、呂律《ろれつ》が回らなくなっていた事を話した。

「まともに話をしてやらないと、ぼけるし、ぼけたら目も当てられないからね。」

 うーん。孝行息子の化けの皮が剥がれそうだが、私としてはやはり親孝行というより合理的なつもりなのだ。因果応報。善因善果、悪因悪果。……私を褒める人々を見ると思う。

老子より、「大道廢、有仁義。知慧出、有大偽。六親不和、有孝慈。國家昏亂、有忠臣。」……大道が廃れて仁義が有り、智慧を誇るから偽りも現れ、親族が不和だから、孝行が評判になり、国家が乱れるから、忠臣が評判になる。

 私は親と当たり前に付合っているだけなのです。歩かせるのが面倒だから車を横付けし、ぼけられると困るから、相手をする。……そうしない人々が当たり前で、そうする人が褒められる? 現代人類って、レベルが低いんじゃない?


2004年 06月 30日

6月29日「当たり前のこと」の中で、私は、

「子を産めぬ気功水や気功石よりも、大切にすべきものがあるのでは」と、主張した。しかし、こういう表現が回りくどく感じる人が多々いるようだ。

「子を産めぬ気功水や気功石よりも、我が身を生んだ親を大事にせよ」となぜ主張しないのだろうか……と。

 私はいつもこのように重点をぼかす。わざとであるし、信念でもある。さてそれをどう語ろうか。

 一つの事実は、見る人によって様々な解釈が成り立つ。その多様性こそが精神世界・霊界の美しさであり、強さでもある。私は誰かに自分の考えを押しつけたくはない。それは一様化であり、もろさであり、侵略であるから。

 私は心霊知識を学んだ。そして得たのは自己の正しさと、他の思想への敬意と、違いを乗り越えて助け合うことのすばらしさだ。たしかに世の中には他と共存が出来ないものがいる。しかし、神経質にならねばならぬほど、世間は狭いわけでもない。

・・・・・・・

 私の師ならば、ここぞとばかりに先祖供養の大切さを語るだろう。だが出来の悪い私は思う。「先祖供養って何だろう……?」と。私のHPの読者なら、先祖供養が、高価な墓石や仏壇、又は僧侶の読経、お花・お香の事だとは思うまい。……おそらくは。

 祖先を尊敬し、敬うことだ……と、言葉にすることも出来る。でも、その言葉にうなずいた人も、腰が痛かったり、足が痛かったりしたら、気功やら何やらにすがりつき、「ああ、老神やらご先祖様よりも、この気功石・波動石の方が霊験あらたか」等と思うかも知れない。まあ。老神いさおについては実際にはその通りかも知れないが、……生まれてきたら祖先は用済み、後は現世利益の多い方が……等という考えは戴けない。そもそも、生まれてこなければ苦しみもないはずで、それでも生にすがりつくから癒しに頼るのである。

 私は先祖供養さえあれば、気功やら健康器具・医薬品が不要であるというのではない。自分の親や子と向き合うことを面倒がり、嫌がりながら暮らす……生活の基盤に嫌悪を残しながら、自分の幸せを外に求める滑稽さを指摘したいのだ。

 そういう目で改めて見て欲しい。癒し……結構だけれど、現実逃避としての癒しが何の救いになるのか? 現実を正せてこそ、本当の癒しではないのか? ところが、どうも癒しブームで注目されるのは、少々浮世離れした場所、物、人だ。 ……それって変とは思わないか? どう変であるのか……を自分で考えられないなら、あなたは生きる術を持っていると言えようか?


2010年 02月 15日

 母はその後、再婚相手と離縁、手術で人工股関節を入れて、元気に遊び歩いております。

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