死者の供養について

2006年 03月 22日


 死者の供養は、どうしたらよいか、という質問が時折寄せられます。大抵の方は霊媒を、供養の専門家の様に思っていらっしゃるようですが、そういう儀式的なことは、僧侶や神官の事業であって、一部(大部分?)の霊媒が、その事業の一翼を担っているとしても、それは本来の霊媒の仕事とはいいかねます。

 例えるなら、結婚式と結婚の違いとでも申しましょうか。いくら盛大に式を行ったところで、新郎新婦の間の絆が充分でなければたちまち離婚の恐れがありますし、一方で、式らしい事は何もせずとも当人の絆が充分であれば、長く添い遂げることになりましょう。死者の供養も同様であって、墓参の回数や、仏事・神事の経費が大切なのではなく、遺族の真心のどこにあるかが大切なのです。

 そして、心霊家としていうなら、人が生まれてくるときに医師や助産婦の助けを得るように、人の死ぬときも死後の世界で高級神霊の援助を得ているので、概ね地上側の手助けは必要とはいたしません。理想をいうなら他界への再生を祝福するぐらいが良いのですが、これを広言すると、「まったく心霊家というのはけしからん。人が死んだらお祝いをせよという。遺族の気持ちを逆撫でしおって、お祝いは、お前が死ぬときにすればよい」…… などという面倒な話になるでしょうから、私は口を噤んでおります。

 ただ、少なくとも肉体の死というのは、戻ることの出来ない一方通行の道行きなのですから、行く者の後ろ髪を引くような態度だけはなるべく慎むべきだと思います。……悲しくとも、「行った先に早く馴染むように」 という励ましこそが死者には必要ですし、生き残った人に取ってみれば、 いなくなった生活に早く馴染むことが必要なのです。その辺の理解が足りない哀悼の言葉が世間にとても多いとおもいます。

 そもそも人が生まれてきた以上、人が死ぬことは避けようがありません。死は自然であって、不死こそが不自然、いや、生きていることすら実は奇蹟と呼ぶべきかも知れないのです。それをわざわざ自殺する者もおりますが、価値や意義が分らぬ者をとやかく言っても始まりますまい。

 その本来、自然である死ですが、準備もなく死を迎え、そして、逆戻りが出来ないとなると、往々、ごねる人が出て参ります。地上に再生するにあたっては事前に心の準備が出来ているものらしいのですが、死ばかりはなかなか、人格が出来上がらなければ教えて貰えないもののようです。かくして、霊媒の出番が参ります。

 死者の供養に関して、霊媒が為すべきは、墓相や供養法の心配ではありません。準備不足で戸惑い、地上に未練を残してごねている霊魂の心配を取り除くことなのです。……と、私は信じています。むろん、霊媒の数だけ意見はありましょうし、物事には需要と供給の関係もあります。

 が、神は騙せない……因果は眩ませず……と申します。ようするに、当人が努力した以上の高い境遇には、いくら霊媒に金を積み上げても、押し上げることが出来ぬのです。この点は、しっかりと吟味していただきたく思います。

・・・・・・・

 では、霊媒である私が、どういう供養をするか……私が心掛けていることをご紹介するなら……

 まず、心にゆとりのある時には、たびたび線香を手向け、静かに祈ります。……線香は良いものを一本だけ、大切なのは価格ではなく、心安らぐ香がして煙が少ないものを選ぶことです。それはつまり、祈りが穏やかになるための香の演出ですから、マメな人ならばアロマオイルを使っても良いし、コロンなどを使うのも良いかも知れません。

 花もあればよいのでしょうが、私は世話が下手なので、枯らすことを惜しんで、花には手を伸ばさぬようにしています。といって、造花等というまがい物はかえって心を汚す気がして手を伸ばしてはいません。

 墓参りは、なるべく家族のものと都合がついて、無理がない程度に頻繁に行きます。大切なのは、共有する時間だと考えます。

 まあ、この程度でとやかくはいわれずにおります。

 ただ、このやり方で済むのは、私の事情があるからで、人によっては前世の因縁などで、三界万霊(といえば聞こえが良いが)というか祀るものの無い無縁仏を延々と供養しなければならない人もいるようで……それはそれ。兎も角自分の都合を優先するのは、大過の可能性はあっても無事の保証は無いとお考え下さい。

 この辺は、霊媒に質問しても適切な答は得られないと思います。なぜなら、助けて欲しくても、助けよ!と主張できないのが日本人(当たり前か?)……良いよ、といいつつ、でも無視をすると嫌がらせをする霊も多いからです。日本人て、本当に面倒です。


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