手当

06年 01月 13日


 重さでも、体積でも、長さでも……測定するにはそれに適した場所がある。

 傾いた場所では、秤《ハカリ》や、枡は使いがたい。凸凹した場所では物差しも使いがたい。

 同様に、自分の気持ちを推し量るのにも、体調を調べるのにも、やはり内外ともに落ち着くことが大切だ。

 慌てている人への霊査を取る。――「落ち着きのないことがよく分ります」……というのでは霊査に価値がない。だが、「そんなことはわざわざ霊媒に言われるまでもない!」と腹を立てる前に考えて欲しい。

 わずかなミス、ちょっとしたタイミングのズレがどれほど甚大な被害の引き金となるか。往々にして、落ち着きのないことが災難の原因なのである。つまり、わざわざ霊媒に聴くまでもない明白なる原因をぶら下げて、霊媒に頼る滑稽さが落ち着きのなさに存在するのだ。

 言われるまでもない、指摘されるまでもない……くだらない、と思う前に、まず自分自身でクリアーして、さらにその次の課題を掘り下げるべきだとは思わぬだろうか?

 霊媒の努力に甘えるような心霊相談の在り方は、自助努力の虚ろさを明示し、その災難の原因が自業自得によるものであることを暗示するのだ。

 さて、体調が悪い……とする。痛い、痛いと騒ぐのは同情してくれる人の前だけにして、まずは我慢し、心を静める。ゆったりと座り、または、横たわり、痛みの部位に手を当て、自問自答する。「悪いのはここ?」

 もしも手のひらに緊張感が得られたなら、そこを中心にらせんを描くように手を動かしては自問自答する。「悪いのはここ?」

 一通り回れば、また中心に戻り、自問自答する。「悪いのはここ?」

 大切なことは、答を得ることではない。自分の意識の大きな部分が、自分の身体の不都合に関心を向けることだ。端的にいえば、潜在意識が自分の不健康さに気がつくことが大切なのである。身体に注意を向ければ、その部位に血液が集まり、温かくなってくる。それが自己治癒の第一歩だ。

 手を当てることを手当というが、治癒力は手にあるのではなく、人の心、ひいては魂であり、手はその働きの象徴に過ぎない。


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