信仰の意義と対象


日本人は宗教に節操がないといわれますが、私は、まず信仰心があって、その時々に向ける対象が違うだけだと考えます。だから、七五三は神式、死ねば仏式、初詣に行く一方でクリスマスも祝う。対して外国の多くでは、先ず信仰対象があってその中で信仰心を育んでいるようです。だから、他宗教を敵視することも多いのでしょう。

他宗教を敵視する文化背景があるからか、キリスト教文化圏の霊界通信を読んでいると、どうも宗教に関する記述に引っかかりを感じます。(以上は質問の発端を説明するだけで、世間にある霊界通信などの具体的な問題提起はいたしません。)

Q「信仰とはなにか、信仰対象は何が適切か」

始めに信仰心が有るべき――始めに信仰心を掲げるべきである。真に全身全霊を捧げて信仰すべき何者も地上には存在しない。物質世界に降りてきた途端に、宗教は物質的属性を帯びてしまい、純然たるものではなくなる。すべての宗教は、生前私が一生を捧げた仏教でさえも、真と呼ぶべきものではないし、真を求めるべきものでもない。その状態の中で、人はまじりものの排除に努めて、より純粋に近づくことを大事とすべきである。

 より純粋なる宗教を求めるのは、過ちの元である。極論すれば何も信じないことが一番の純粋となるだろう。複雑な物には多くの交りものが入り込み、それゆえに経典の多い仏教こそが一番の偽物といえるかも知れない。だからこそ、仏教を学ぶ物は、まず最初に何が真であるのかを学ばねばならない。……何が真であるのか、つまり、何が真でないのか、だ。経典も言葉という未熟な表現を使う限り、言葉だけから学べば未熟な智慧しか得ることが出来ない。だからまず、その空しさを知らねばならない。

 ただ知り、ただ信じることには過ちが入り込む、それ故に、信仰から入って信仰心を育てるのは、同時に迷信をも育てることになる。世に宗教を理由とする暴力が多いのは、まず、信仰から入って信仰心を育てた結果である。

 信仰心から信仰に至った者なら、言語という未熟な表現手段に惑わされることなくその真意を汲取って、宗教を暴力の手段にすることは避けるであろう。

Q「すると、信仰対象の選び方という設問は無意味な感がいたします。」

他の霊が代りに答える。

 私が思うに、信心というのは人が善良に生きるための根幹であって、それを育てることはとても大切だと思う。人を信じるが故に人から信じられ、誠実であろうとするから誠実な態度で接せられる。

 それ故に、信仰の対象を何にすべきか、という問いは空虚である。

 そもそも人は何を信じるというのだろう? 天の公平さか、古代の英雄の叡智と力であるのか。信仰対象とは、いわば心の拠所とするものだが、働き以上の報酬を求めたり、人格以上の尊敬を求めたりする様な不誠実な者が何を信じたとしても報われるものではない。それは信心ではなく利用にすぎない。

 真に信心する者は、信じる事の意味を知っているが故に、信じられることの大切さも知る。だから善良に、誠実に生きる努力をしているはずである。そういう人達にとって、何を信じるかは問題にはならない。

盧氏

信じることを力とする――もしも信仰の対象を必要とするなら、自分が一番素直になれるものを選ぶべきである。あれこれと、期待を抱く相手を信仰対象に選べば、自分の欲に騙されてしくじるだろう。

Q 「困って宗教の門を叩くものは救われないと?」

困っている人に救いがあるのではない。――困っている人に救いがあるのではない。救われるべき者が救われるのである。救うのは宗教ではなく、切っ掛けをもたらすに過ぎない。

 自身に功徳無く、身内に功徳無く、努力無く……それでは救いが遠い。

 不平不満、愚痴を慎まず、恨み、妬みていれば、……親切すら遠ざけてしまう。

 自分を救いたければ、自ら努力すべきである。自らを救わずにいて、誰も助ける者がないと嘆く……それは救いを求める姿ではなく、憑依相手を求める地縛霊の姿である。


06年 03月 25日

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